小学生の時、風邪気味で学校休んで、家で独りで寝てたら(母はパート行った)、 ガタンガタン!ゴン、ゴンッ、ゴンッ・・・と外から音が聞こえた。 部屋のカーテンを開けると、隣の家の庭の柿の木で、隣のおじさんが首吊ってブラ下がってた。 まだ意識があるのか、ツッコミを入れてる時のアンガー○ズ田中のような顔でこっちを睨んでる。 冬の薄曇りの寂しい日、葉の落ちた柿の木以外何もない寂しい庭で、いつもシケた顔の身汚いオッサン(ややハゲ)が ダラダラ揺れてて、「今日は何て寂しい日なんだろう。お母さん早く帰って来て」と思いながら、泣きながら寝直した。 その後の大騒動は記憶に全くない。 薄曇りの日に大きな柿の木を見ると、たまにあのおじさんテルテル坊主を思い出した。 去年急に母がその話をし出して、 「お父さんもいなくなった今だから話すけど、あの隣のおじさんに私しょっちゅう結婚を迫られてたの。私もあっちも結婚して 子供もいるのにね。馬鹿みたいでしょう?別れて俺と、なんて、何で旦那より不細工と結婚し直さなきゃならないの、って ウンザリだったけど、多分冗談だと思って誰にも言わないで適当にあしらってたのよね。 そしたらさ、首吊ったでしょう?遺書残してたのよ、奥さんに。どういう内容かは知らないけど、なんか私の名前があったらしいのね。 奥さんにもなんか色々言われて、まあ取りあえずさっさと引越してくれたのは良かったわー」 と言われた。 母も災難だったのだなーと同情してしまった。 ちなみにこのお隣の奥さんは、引っ越していく日に、斧でうちの玄関を壊して行った。 その日も何故か学校休んで私独り家にいた。 窓から覗いた時の、日野日出志のマンガみたいな左右アンバランスな顔の奥さんと、よく似た息子の無表情さと、錆びた斧の大きさは 今でも何となく覚えている。[…]
Read more